課題は集客。歯科衛生士のための、キャリアトレーニング事業
―業界でも珍しい、歯科衛生士に特化したサービスを展開されています。杉野代表ご自身も歯科衛生士をされていたと伺いました。
杉野:国家資格である歯科衛生士の資格保有者は、2022年時点で31万人を超える一方で、就業中の歯科衛生士は約14万人。半数以上が離職しているのが現実です。
このような事態が起こる理由の一つに、結婚・出産・子育てなどの女性のライフスタイルと歯科衛生士の仕事の両立の難しさが挙げられます。歯科クリニックは拘束時間が長いところも多く、私自身も10年近く歯科衛生士として勤務し、子育てをしながらフルタイムで働く難しさを実感してきました。
多くの歯科医院が「予防」や口腔ケアを重視しているにもかかわらず、歯科衛生士は慢性的に不足し、2023年卒の新卒有効求人倍率は、なんと23.3倍。
「現場から離脱した歯科衛生士を社会に戻したい。働き方の自由度を上げ、専門知識やスキルを生かし、彼女たちが生き生きと人生を送るサポートをしたい。」
臨床以外にも活躍の場を広げられるよう、一般的かつ多様なビジネススキルを身につけられる歯科衛生士専門のキャリアトレーニングプログラムを立ち上げました。
―2023年1月にOPTION Xに支援を依頼された際、どのような課題がありましたか。
杉野:最大の課題は、集客でした。3年ほど前にトレーニングプログラムを事業化したものの、ニッチな業界に特化したサービスだからこそ集客に苦戦していました。
当時の集客活動は、素人の私が運用するInstagramが中心。その他のSNSやYouTubeなども細々と取り組んではいましたが、オーガニックな方法での集客に限界を感じ、OPTION Xさんにサポートを依頼しました。
―サポートをOPTION Xに依頼した決め手をお聞かせください。
杉野:知人を介して紹介いただいたことに加え、キャリアスクール系のビジネスでの成功実績があると伺い、即決でお願いしました。
マーケティングを勉強したことのない私が手探りで進めるより、実績あるプロにお任せする方がはるかに確実。集客の行き詰まりを解決する打開策として期待しました。
1年で売り上げ5倍&受講者の声「歯科衛生士の仕事を好きになった」
―マーケティングプランの実行により、どのような成果が生まれましたか。
杉野:1年でLINE登録者数は5,000人を超え、7倍以上に増えました。キャリアトレーニング事業の無料相談件数は1,500件以上と、以前の約3倍。1億円を目標としていた売り上げも、現時点ですでに3億円の着地が見え、導入前の約5倍に伸びています。
サポートを依頼して数カ月で急激に数字が伸び始め、そこからの勢いがすごかったですね。ここまでの成果は期待以上。自社で発信していたときとは比べものにならない反応に、「こんなにターゲットが存在したんだ」と、驚きました。
それほど歯科衛生士には悩みがあり、ニーズがあるという証。当社ほど歯科衛生士に特化したサービスは他にないので「今後はさらに利用者が増える」、そんな予感がしています。
―今回のマーケティング活動の成果で得た「もっともうれしい成果」を、教えてください。
杉野:何より嬉しいのは、「歯科衛生士の仕事を好きになった」「歯科衛生士を辞めずにすんだ」という、受講生の声を聞けたことです。彼女たちがキャリアの幅を広げ、幸せに働く姿を見られることが一番の喜び。
お口は健康の入り口なので、「予防」のあり方を歯科衛生士が広めることで社会全体の健康促進にも貢献できる。売り上げは、後からついてくるものだと思っています。
―キャリアトレーニングプログラムを受講した方々の活躍をお聞かせください。
杉野:4つのトレーニングコースによっても異なりますが、例えば、フリーランスの歯科衛生士として顧客に口腔ケアを提供する方。歯科クリニックのコンサルティングやスタッフへの教育、採用活動のサポート、SNSアカウントの運用代行を担当する方など、活動は多岐にわたります。
ほかにも、専門知識を生かして歯科関連企業のライターとして活動する方、個人サロンを開業して歯のホワイトニングメニューを提供しながら「予防」の知識を広める方、エステティシャンとして活動する方など、多くの方が新たなキャリアパスを見つけて活躍している姿がうれしいですね。
マーケティング施策 3つのポイント。持続可能な事業成長にコミットする
―今回のマーケティング施策のポイントを教えてください。
OPTION X担当:大きくは3つです。まず最初に、電子書籍のリリース。会社や代表への信頼性を高め、見込み顧客獲得にも活用できるツールとして、構成からデザイン、制作、レポーティングまでを一貫して担当し、これまでに2冊リリースしました。
次に、リストを活用したクロスセルの実施とコンテンツ開発。LINEの登録者や無料相談の予約者に対し、メイン商材のトレーニングプログラム以外にもさまざまなコンテンツを開発、提案しています。顧客のニーズにマッチする受け皿を増やすことで、マーケティング活動を最大化する狙いです。
最後に、販売方法の充実化。無料相談から面談実施という流れがトレーニングプログラムの基本ステップですが、セールス動画やセールス用のLP(ランディングページ)を制作し、面談のステップを踏まずに購買が完了するルートを併設しました。
広告媒体や商材の単価によっても最適なプロモーション方法は異なるため、単発講座には単発講座にマッチした販売方法を取るなど、効果的な仕組みを設定しています。
この1年を通して歯科衛生士のリアルな悩みやニーズが明らかになったので、今後は、さらに歯科衛生士のみなさんの人生を輝かせるコンテンツを打ち出していきます。
―クライアントの事業成長に向け、OPTION Xがコミットしていることを教えてください。
また、中長期的な成長には業界内での評判と信頼が欠かせません。目先の売り上げを追うのでなく、健全な成長環境を築くことに配慮して活動を進めています。
クライアントの持続可能な成長があってこそ、当社とも長くお付き合いいただける。クライアントとその顧客、そして当社という三者にとって豊かな成長を目指します。
深い顧客理解×最速のPDCA=本質的な成果
―マーケティングが成功したカギは、どこにあると分析しますか。
OPTION X担当:最大の要因は、競合他社が存在しない市場環境です。その上で、運用開始から半年が経ち、広告効果が停滞し始めたタイミングでLPを入念にブラッシュアップした結果、CPA(顧客獲得単価)を大幅に改善できた。キャッチコピーや構成など、細かな点が反響を大きく左右するとわかり、重要な要素として向き合っています。
また、当社が顧客理解を非常に重視する点も、欠かせない要素です。特定のテンプレートを使って広告を運用するのでなく、顧客の特性や状況に合わせて丁寧にアプローチする。すぐに数字には直結せずとも、ブランディングとして効果的であれば中長期視点でそちらを選択する。
歯科衛生士という職業柄、真面目で繊細な方も多いので、顧客の特性を踏まえた戦略を取ることで本質的な成果につながりました。
―杉野代表から見て、OPTION Xのどのような対応が印象的でしたか。
杉野:集客を続けるうちに、顧客のタイプが変わっていったんです。序盤の顧客は、新しいものが好きで好奇心旺盛な方々。途中からは、安定志向で慎重なタイプの方々が増えました。
歯科衛生士は国家資格の専門職なので、業界的には後者が圧倒的多数。彼女たちのニーズを掘り起こせたことで、メインのターゲットにリーチできました。
ただ、客層が変われば刺さるクリエイティブも変わります。変化に反応できなければ顧客の信頼を失うことにもなりかねない。そのタイミングを見逃さず、瞬時にアプローチを最適化してくれるのがOPTION Xさんのスゴいところ。判断力と対応力の素晴らしさに、信頼度がさらに上がりました。
OPTION X担当:媒体特性や流入経路によっても顧客の特性は変化します。ニッチな業界だからこそ、客層が変化するスピードも早い。日々、顧客の様子をチェックしながらコミュニケーションをアップデートし続けています。
「私たちに寄り添ってくれる」事業成長へのパートナー
―杉野さんが感じる、OPTION Xの「推し」ポイントを教えてください。
杉野:私たちに寄り添ってくれること、それに尽きます。過去にも、SNSの運用などに関してさまざまな企業とかかわってきましたが、テンプレートに近い提案をされることが多いのが現実でした。
一方、OPTION Xさんは、歯科業界の独特の雰囲気や歯科衛生士の心理を深く理解しようと向き合い、当社のリクエストに寄り添ってくれる。その上で数字の成果もしっかり出るので、信頼と感謝しかありません。
OPTION Xさんがいなければ、今のD.HITがないことは確かです。
OPTION X担当:当社の活動をご理解いただき、「一緒に達成しよう」というあり方で積極的に協力していただけるD.HITさんだからこそ、PDCAをスピーディーに回せています。成功への確度を上げる起点ですね。
―貴社の今後のビジョンについてお聞かせください。
杉野:歯科衛生士が幸せに働き、活躍の場を増やすことが当社の目指す未来です。キャリアと家庭の両立に葛藤せず、労働環境にも左右されず、自立して決断できる女性を増やしていきたい。そして「予防」という切り口から、歯科衛生士がよりよい社会を生みだす貢献の機会を増やしていきたい。私自身の喜びもそこにあります。
「すべての歯科衛生士がこのトレーニングを受けた方がいい」と、思うほど自信を持ってプログラムを提供していますが、LINEに登録してくれた方のすべてがトレーニングの受講に至っているわけではありません。
何らかのニーズがあって訪れてくれたことを思うと、その思いに応えるコンテンツづくりをしていくことが私たちの課題であり使命。期待に応える活動を続けていきます。